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keimizumori

Author:keimizumori
早稲田大学理工学部卒業後、1992年に渡米。芸術・文化・社会問題で新聞・雑誌等に寄稿するジャーナリストとして活動後、 2003年に帰国。「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組み、科学的洞察力を養う解説を行うナチュラリスト、サイエンスライター、代替科学研究家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆活動に加え、各種セミナー・イベント等をプロデュースしている。
著書に『ついに反重力の謎が解けた!』、『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の謎/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研パブリッシング)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』(明窓出版)などがある。


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財産からリンチの対象まで

 90年代初めにアメリカに渡った時、現地在住の日本人から、アメリカにいる黒人のガタイが立派なのは、奴隷として連れてこられた時に、選別されてきたからだと言われた記憶がある。アメリカでは比較的「食」に恵まれてきた背景があるとはいえ、確かにその影響も大きいと思う。
 かつて、奴隷という言葉を聞いた際、人権無視の強制労働というイメージが強かった。そして、命が粗末に扱われた、と。ただ、アメリカにいたこともあり、いくらか奴隷貿易に関して学ばねばならないと感じて、現地で何冊か本を読んだ。それで知ったことは、自分の奴隷に対するイメージは相当に歪んでいたということだった。おそらく、自分が奴隷にされたら、どんな状態になるのかというイメージから、それはやってきていたのだと思う。奴隷のオーナーの立場で考えてみたことはなかったのだ。
 オーナーは奴隷を購入するにあたり、例えば、男であれば、若く力があり、丈夫そうで、従順そうな人を選ぶ傾向はあった。そんな基準から、奴隷の値段も上下する。高い買い物をすれば、オーナーとしては、当然、長く元気で役立ってほしいと思っている。だから、自分がイメージしていたほどではなかった。奴隷はオーナーにとって財産なので、たとえは悪いかもしれないが、(明らかに人権を無視しているので)自動車やトラクターのような機械と便利屋を兼ねたような存在かもしれない。長く使えるように車やトラクターを整備するし、自分の奴隷を他人に傷つけられれば、それは財産を汚されたことになるので、必死に守ろうとする。集団で強制労働させられるイメージはあまり当てはまらない。思っていたよりも命を粗末にされた訳ではなかった。自分の大切な奴隷をめぐるオーナー同士の争いも珍しくなかった。
 ただ、奴隷としての価値によってそれは異なってくる。アフリカからの黒人奴隷は比較的高値で取引された。仕入れの段階で選別されたのが大きいと思う。奴隷として最も価値が低かったのは白人奴隷だった。特にアイルランド系の白人奴隷は、子供の段階で町から誘拐されて連れてこられることも多々あった。そこに選別はなかった。差別による排除、リンチ、人口増対策などがあった。
 そんな白人奴隷の価値は低かったので、オーナーとしても、使い捨て感覚があり、命を粗末にされた。おそらく、使えない黒人奴隷でもそんなことは起こったはずだけど、白人奴隷に対する差別意識は根強かった。
 白人社会では奴隷の件で黒人に対して負い目を感じている。だから、奴隷に関する話をする際には、真っ先に黒人奴隷のことを表に出さないといけない。同類に対する差別とリンチの延長線上で新大陸へと送った白人奴隷の件は伏せておきたい問題になっている。
 90年代にアメリカにいた時に自分が奴隷に対して抱いていたイメージは、白人奴隷に相当するのではないかとその時思った。とはいえ、黒人奴隷に対しても、リンチで殺されたケースを含め、程度の差は相当にあったし、それほど負担の重くない奴隷がいたとしても、自由は存在せず、それを過小評価している訳ではないことは念のため断っておきたい。
 「古き良きアメリカ」なんて言葉も存在するけど、有色人種が語るならいいとしても、これは公民権もない時代のことで、誰のおかげで享受できた文化だったのか?とも思えてしまう。個人的には常に違和感を感じる言葉になっていて、黒人はどう思っているのかと気になってしまうところです。
 一方で、オーナーと奴隷との間に友情関係が築かれるケースも多々あり、今度、そんな友情から才能を開花させた黒人奴隷の話もしてみたいと思う。

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