植物は根から水を吸い上げ、導管を通って、上方の葉などに水を届ける。
草の場合、茎の中で、導管と師管がどのように存在しているのか、中学の理科で学んだので、皆さんも知っているのではないかと思います。その配置は草の種類によって様々ではありますが、多くは、導管が内側、師管が外側にあります。大地の中で広がった根の先端から遡ると、求心的に地表に向かって水は吸い上げられ、茎の内側で上昇していきます。但し、茎の真ん中というわけではありません。輪を作るものもあれば、均質に散らばっているようなものもあります。
多くの草は、樹木とは異なり、それほど高く成長せず、構造的な強度もあまり必要としないこともあり、そのあたりの内部構造には自由度があるのだと思います。
一方で、樹木の場合、その構造は少々異なります。ただ、内部で導管がどのように配置され、どのように水を吸い上げているのか、調べるのは難しいためか、あまり知られていません。様々な種類の樹木で徹底的に調べられているわけではなさそうですが、だいたいのことは分かっています。まず、樹木は中心部から枯れていくので、中心部に存在する導管はもはや機能せず、水を吸い上げることはありません。途中から外側に存在する導管が水を吸い上げるわけですが、その際、輪を形成するのではなく、螺旋を形成します。
求心的な流れは、その中心点で螺旋を形成しやすい傾向がありますが、それが良く現れています。他の例で言えば、低気圧は周囲から空気を求心的に取り込み、中心軸で反時計回りの渦を形成して上昇流を作ります。竜巻や火災旋風なども、周囲から空気・酸素を取り込み、螺旋を形成します。
ただ、樹木が形成する螺旋の回転方向は一方向に統一されていません。火災旋風同様、時計回りも反時計回りもかなりあります。しかし、いずれもしても、反重力効果生じます。
拙著『
世界を変えてしまうマッドサイエンティストたちの【すごい発見】』(ヒカルランド)でも紹介しましたが、オーヴィン・ワグナー博士は、幹の中に小型の加速度計を埋め込み、樹木が根から水を吸い上げる際の重力加速度の変化を測定していますが、その結果、最大22%の減少が確認されています。
因みに、この22%という数字ですが、私の考えでは、この現在の地球環境において言える数字であって、大昔の異なる地球環境においては、もっと大きな数字になっていた可能性はあると思っています。
それで、求心的に取り込んだものは、いずれ遠心的に拡散します。樹木は地上で枝葉を広げ、そこで水を蒸散させて、それがまた根から水を吸い上げる原動力になり、一つのサイクルが形成されます。
これはいわゆる樹冠の部分で、水の状態変化が起こる場所で、森においては、生物が豊かに存在する特別な空間を形成します。エネルギーに満ちています。打ち上げ花火が昇りきるまで上り詰めて、爆発して花開く場所と似ています。実際に樹木はそこで花を多く咲かせます。
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