リバース・スピーチは、簡単に見つけられそうでいて、なかなか難しいのが現実です。声を録音して、動画・音声編集ソフトで逆再生を行えば良いのですが、多くの場合、二つのケースに分かれます。
最初のケースは、ほとんど見つけられないというものです。これは、実際にほとんど含まれないがために見つけられないケースもありますが、含まれていても見つけられないケースも多々あります。発言者の発声の特徴を考えて、再生スピードだけでなく、リバース・スピーチが入り込みやすい音の変化というか、特徴的な波形と言いますか、そんなところに注意しながら、リラックスしながらも、注意力は怠らずに聞く姿勢が求められます。
二つ目のケースは、空耳的に「こう言っているように聞こえる」というものばかりを間違って見つけてしまうことです。リバース・スピーチの中には、表音にいくらか依存し、偶然すら呼び込んで生成されるものがあります。このような傾向を知っておくことは重要です。しかし、偶然に「こう言っているように聞こえる」ものをリバース・スピーチと判定する訳にはいきません。偶然によって生成された例を排除していく必要もあります。
このあたりの選別作業は、リバース・スピーチに関する知識がないと無理なところです。
しかし、初心者でもいくらか判定方法はあります。偶然による結果なのかどうか、分からない箇所に関しては、発言者と同じように自分で喋り、その音声を録音し、逆再生することで検証するのです。もし、誰にでも簡単に再現できるものであれば、偶然の結果である可能性が極めて高くなります。
但し、生成されるリバース・スピーチが短い単語で単発に現れるのではなく、長いフレーズが発言内容と関連して発生してくる場合には、偶然では説明できなくなってきますので、そんな例は、偶然を呼び込む結果として、リバース・スピーチに成り得ます。
そんなこともあり、リバース・スピーチの選別にはどうしても経験が重要となります。分析には時間を要しますので、根気も必要と言えるかもしれません。習得までに要する時間や面倒な作業を嫌ってのことと思われますが、もちろん、私のところにクライアントが分析を依頼してきます。多くのクライアントは、もう一人の本当の自分を知りたいがために、真面目に音声を録音して送ってきます。
リバース・スピーチの生成には個人差がありますが、例えば、20分という時間で、何も見つからないというケースはほとんどありません。もちろん、生成されたリバース・スピーチがクライアントにとって建設的な情報をもたらすとは限りません。むしろ、病気、ストレス、不幸などの原因をリバース・スピーチが的確に指摘してくれるケースは、英語ではいくつも報告されているものの、日本語ではまだデータが少なく、成果を発揮できていません。
しかし、自身が発するリバース・スピーチを知るだけでも大きな発見です。おそらく、多くの方が知りたいと思うのではないでしょうか? やってみないことにはわかりませんが、それまで気づかなかったような自身の隠された側面が言葉として出てくるかもしれないのです。
それは、とても画期的なことです。リバース・スピーチは、既にあらゆる言語で発生していることが分かっています。日本語はこれから開拓されていく段階にあると言えるでしょう。
詳細は拙著『リバース・スピーチ』(学研パブリッシング)に記しましたが、読者限定サイトで音声を確認頂くなど、参考にして頂けましたら幸いです。
